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鉄筋破断とコペルニクス 


 高速道路などのコンクリート橋脚の中の鉄筋が破断する現象が起きていることがわかったそうです。コンクリートの膨張によるものだそうです。
 このニュースをテレビで見たあと、私はコペルニクスのことを考えました。コペルニクスの時代のヨーロッパで地球は動いてはいけないものであったのと同じように、現代社会で鉄筋コンクリートの鉄筋は破断してはいけないものでしょう。

 コペルニクス(1473-1543)の生きた時代のヨーロッパは今日では、中世から近代への時代の転換の時期であったとみなされています。当時のヨーロッパ社会はキリスト教会の大きな影響下にある社会でしたが、コペルニクスの生まれる30年前にすでに印刷術が発明されており、また宗教改革者のマルティン・ルターはコペルニクスの生誕の10年後に生まれていて、時代は確実に教会権力失墜の方向に進んでいました。
 今歴史を振り返ると、当時の教会の権力が失墜していき、ヨーロッパ社会が変化していったことは何か当然の成り行きのように見えるかもしれませんが、コペルニクスと同時代の人々はまさか自分たちの社会がその後根底から揺さぶられるような事態に陥れられるとは思わなかったでしょう。

 地球は宇宙の中心として不動である、というプトレマイオスの理論を当時の天文学者は信じていたし、それは教会の教えにもあっていました。しかしそれでは説明できない天体の動きがあり、コペルニクスは太陽中心説(天動説)を採るにいたります。

 コペルニクスの天動説を著した『天球回転論』の出版は彼が70歳で亡くなるわずか2ヶ月前のことです。しかし、天動説のアイデアは彼の30代にすでにありました。彼の「宇宙の新理論」は関係者にわずかに知られることはあったようですが、彼は努めて公にはしなかったようです。発表するには時期尚早でした。

 これは単に天体の運動の問題ではないのです。社会の安定と混乱に関わる問題なのです。天動説を公表すればその社会を成り立たせている考え方に疑問を投げつけるものになってしまいます。


 「アルカリ骨材反応」によりコンクリート内の鉄筋が破断する、このことが分かったとき関係者はどう考えたのでしょうか。このことが社会に与える影響を当然考えたでしょう。
 
 鉄筋コンクリートといえども脆弱であるということは何を意味しているのでしょうか。鉄筋コンクリートに代表されるような現代の世界観が何か別のものに変わって行く可能性はあるのでしょうか。

 望遠鏡が天体の動きを正確に調べるのに役立ったように、いずれ厚いコンクリートでも、その中の鉄筋がどういう状態であるかを調べられる機器が作られるでしょう。そのときどういうものが見えるかあまり考えたくありません。

 今のままの鉄筋コンクリートの信頼性が低いとなると建設見直しをせまられるものは多いでしょう。宗教改革により教会建設が見直され未完成に終わった例もあります。

 コペルニクスの死後、望遠鏡の登場などにより、彼の理論が正しかったことが証明されました。
 天体の動きを正確に調べるのに望遠鏡が役立ったように、いずれ、コンクリートを破壊せず、その中の鉄筋がどういう状態であるかを調べる機械が作られるでしょう。そのときどういうものが見えるかあまり考えたくありません。

参考HP:コペルニクスについて 1
     コペルニクスについて 2

 
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