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 アイデアとは組み合わせのこと


 「アイデアのつくり方」といういい本があります(ジェームズ・W・ヤング著)。
 非常に薄い本ですが、内容はとても濃いです。わたしが印象に残った著者の言葉を少し、抜き出したいと思います。

 「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない。」

 つまり、アイデアとは、それ自体何か新しいものではない(いきなり空から降ってくるようなものではない)のであり、つまりはもとから存在するものの組み合わせなのだというのです。
 で、何が新しいのかというと、その組み合わせ方が新しいのだそうです。

 なるほどなーと思いました。
 そういえば、ライト兄弟が発明した飛行機。
 すでに、リリエンタールなんかが翼によって、人間が空を滑空できることを証明していたし、それに当時、すでに内燃機関(エンジン)もあった・・・。ライト兄弟は翼を発明したわけでも、エンジンを発明したわけでもなく、翼とエンジンを組み合わせたんですよね(もちろん、ライト兄弟はもともとあったものに相当な独自の工夫をしています)。


 この、「組み合わせる」ということができる才能について、著者はこう言っています。

 (既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、) 事物の関連性をみつけ出す才能に依存するところが大きい。」

 全く別のものを持ってきて、これは使えるかも・・・と思いつくことができるかかどうか、ということですね。
 例えば・・・。
 自動車のスピードをどんどん上げていくと、しまいには浮き上がってしまいます。これを解消するためにスポイラー(翼)をつけるというアイデアをだしたのは、ポルシェ博士だったと思います(たぶん 汗)。飛行機を浮き上がらせる翼を、こんどは逆に自動車を路面に押し付けるために使う・・・。
 しかし、これにしても、ポルシェ博士が最初にクルマを作ったわけでもなく、翼を考え出したわけでもないのです。


 著者は、こんなことも言ってます。

 「特殊な断片的知識というものは全く役に立たない。」

 自分の持っている知識をつなぎあわせること、知識が頭の中でつながって網のようになっていること、まるでネットの中のリンクのように、知識と知識のあいだに道が通っていないと、それは役に立たないというのです。
 考えてみれば私などは、学校教育のなかで、それぞれのカテゴリーに分かれた教育を受けてきたわけで、それぞれの教科で扱われていることがどのような関連性を持っているか、などということは習いませんでした。
 専門性を高めるという点では、こういう教育は効果的かもしれませんが、アイデアを出すという点では、マイナスの効果をもたらしそうです。

 架空口座とプリペイド式携帯電話の組み合わせで登場した、オレオレ詐欺。ほめられることではありませんが、最初に考えた人は、まあ、よく思いついたものです。その後、オレオレ詐欺はワタシワタシ詐欺から、さらに振り込め詐欺へと発展していくのですが、ヤング氏はこうも言っています。
 
 「良いアイデアというのは、いってみれば、自分で成長する性質を持っているということに諸君は気づく。」


 う〜ん・・・。

 飛行機しかり・・・、オレオレ詐欺しかり・・・。




                    2005. 3. 4

参考文献:The Wright Brothers  George Sullivan (著) Scholastic Paperbacks 



         

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