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 「信じられないミス」はなぜ起こる


 タイトルにも使わせていただきましたが、『「信じられないミス」はなぜ起こる  ―ヒューマン・ファクターの分析―』(黒田勲 著 中災防新書 平成13年)を読みました。

 現代社会において、だれにとっても無縁ではない、この事故というもの。この本は私に、事故と言うものに対する新たな視点を教えてくれました。

 特に著者のつぎの言葉が印象的です。
 「どんな要因を除去すれば、この事故は確実に防止することができたであろうかということが大切であって、発生した事象の重大さに驚いて、現場の作業員だけを非難し、責任をなすりつけることではない」(p37)

 事故を起こした当事者を処分するだけで終わりにし、事故にいたる状況、要因等に目を向けないということは、現場を知らない人間のよくやることで、ここには、現場を知ろうとする努力や事故発生にいたる状況に目を向けない態度、怠惰な態度を、私は感じてしまいます。

 黒田氏の言葉を借りれば、「事故は結果が分かっていて発生するものではなく、(作業者が)一生懸命やっているうちに、いつの間にか事故事象へと転がり込んでしまう・・・。」このようなものだそうです。

 重大事故にいたるまでには、事象の環が悪い方向へと連鎖していっており、その環が偶然に、しかも不幸な連鎖をなす確率は、ほとんどゼロに近い、と著者は言います。

 事故再発防止について著者は、次のように言います。
 「時間を逆行しながら実施する従来の事故調査方法は、科学的手段により原因を追究するうえで重要なことではあるが、同種事故の再発防止のためには時間を順行する考え方で、不具合の連鎖の一つひとつを丁寧に組みなおしてみる作業時に必要になってくるのが、ヒューマンファクターについての正しい定義であり、広い知識、人間を見る正確な視点である。」


 私の職場にも黒田氏のような考え方の上司がいればなぁ・・・(^^;)。と思ってしまいます。


                     2004.11.23


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