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「〜でよろしかったでしょうか?」の衝撃!


 よく、店員さんなどが使う言葉で、「1万円札からでよろしかったでしょうか?」「お持ち帰りでよろしかったでしょうか?」などの、「〜でよろしかったでしょうか?」という表現。これは、日本語の乱れ、とか、間違った敬語の表現などと言われますが、私が初めてこの言葉をかけられたとき(ファミリーレストランのレジでの支払いの時でした)、非常な衝撃を受けました。というのは、なんと、英語における敬語的表現に近い日本語なのか!もしかして、英語の影響を受けた日本語の表現なのか? と、感じたからです。

 前述の日本語の正しい表現は、「〜でよろしいですか?」でよいのですが、英語での丁寧な言葉では、時制を変化させるので、「〜でよろしかったでしょうか?」のようなニュアンスが出てきます。

 (よく、英語に敬語はない、などという人がいますが、これは間違いです。また、sir をつければ敬語になると思っている人も見受けられるのですがこれも間違いです。)

 決まりきった表現として、丸暗記されているような例文を使って考えてみたいと思います。

 Would you like a cup of coffee ?  「コーヒーはいかがですか?」
 この、would とはなんでしょうか? (こういう言い方をすれば問題ありかもしれませんが、あえていえば)will の過去形です。
 ではここで、なぜ、過去形が使われているのでしょうか。それは、「あなたは、コーヒーをお飲みになりたいと、思っておられたのでしょうか?」というニュアンスを出すためです。
 もし、ここで、現在形のwillを使うとどうなるかというと、
 Will you like a cup of coffee ? 「当然、あんたは、コーヒー飲むわな。」という、何か決め付けた感じになってしまいます。

 あえて、過去形をつかうことで、「〜だったですか?」という、あえて、相手の思いを決め付けない態度をだしているのです。

 これと、同じようなことが、他でもあてはまります。
 例えば、can (現在形)と could (過去形)の関係。

 Could you help me ? 「手伝ってもらえますか?」「あなたは、私を手伝う意思をお持ちだったでしょうか?」
 Can you help me ? 「手伝ってくれるよな?」「当然あんたは、私を手伝う気持ちをもってるよな?」

 もうひとつ、shall (現在形) と should (過去形)の関係。
 You should study hard. 「がんばって勉強したほうがいいよ。」「がんばって勉強したほうがいいんじゃないかな・・・?」
 You shall study hard. 「一生懸命勉強したまえ。」「君は当然勉強するのだ!」
 (shallは神様が人間に命令するようなときに使われる言葉ですので、聖書にはよく出てきます。)


 他にも、いろいろあります。
 英文を読んでいたり、リスニングをしていたりしていて、現在のことなのに、過去形がでてきたら(would, should, mightなど)、謙遜、推測、憶測、などを表していることがありますので、要注意です。

 (加えて、時制をわざと変化させる表現に、「もし〜だったら、」という仮定法というものもあります。こちらはまた別の機会に。)


                       2004. 6.20




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