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日本的なハードでは動かない英語というソフト

 世の中に存在するもののハードとソフトの関係は、その世界観と言語システムに似ていると思います。ビデオデッキ(ハード)にはビデオテープ(ソフト)、カセットプレーヤーにはカセットテープ、コンピューターのOSと対応しているソフト、のように、日本的世界観ではじめて動く日本語、英語的(インド・ヨーロッパ語的、一神教的、ヘレニズム的、合理主義的、・・・)世界観ではじめて動く英語(というソフト)なのです。
 日本語の世界観のままでで英語というソフト動かそうとするからおかしくなるのです。英語を聞いても分からないというのは自分のコンピューターのOSに対応していないソフトをむりやりダウンロードしようとしているのと同じことです。
 
 金谷武洋氏は次のように書いています。
 「文法と造園術は驚くほどよく似ているのである。そういえば、日本庭園に滝はあるが噴水はない。水を低きから高きへと噴き上げる、自然の流れに反するようなことはあまりに人為的だからだ。ベルサイユ宮殿の庭園のような、ある地点から見た時の完全に左右対称な幾何学模様。これもまた人為的だ。日本庭園にはそうした「神の視点」はない。庭をそぞろ歩くにつれて移動していくのが日本庭園の視点だ。」(『日本語文法の謎を解く』 ちくま新書)

 上の文章の「日本庭園」を「日本語」に置き換えてもいいでしょう。

英語にふれるとき、とにかく日本人一般がもっている世界観と違う世界観の上に立つ言葉であることを意識することが必要です。使われている言葉がどのような思想的背景をもっているかということを学ぶのも英語の勉強をするうえで大切だと思います。(日本人の英語の先生には特にこういうところを教えていただきたいと思います。)

 その世界観を知っていれば、ペラペラと英語を操れなくても英語を楽しめます。
 私の母親はテレビで野球を見て楽しんでいます。彼女は野球の持つ世界観(どういうゲームか、どうなればいいのか、なにが難しいことなのかなど)を知っているからです。しかし、彼女は野球をプレーすることはできません。大人になってからでは野球のプレーが上達しにくいように、英語もそんなにうまくは操れないでしょう。しかし、テレビで野球が楽しめるように、その世界を知れば英語も楽しめるようになります。

 逆に自分の外見だけを、つまりペラペラと英語を話しているように人に見せたりとか、英会話学校に通うだけで気分に浸ったりだけとかはどうかと思います。見た目だけを重視するといつか見破られます。

 ハードをしっかりさせるためには、日本人が書いた本を読むことをお勧めします。
 私のお勧めとして、前掲書、 『日本語文法の謎を解く』 金谷武洋 著 ちくま新書 No.383 の他に以下をあげておきます。

 『英文法の謎を解く』 副島隆彦 著  ちくま新書 No.041
 『「英文法」を疑う』  松井力也 著  講談社現代新書 No.1444

 直接英語と関係はありませんが、勉強一般のために
 『「わからない」という方法』 橋本治 著  集英社新書 No.0085C
 





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