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 外界が先か・・・頭の中が先か・・・カメラと亀?! (音声ファイルはこちら)
 概念化という大問題 


 モノを見て、その名前が言えるということは、ものすごいことです。誰も完全にはその仕組みを説明できないのではないかと思います。
 
 「脳とテレパシー―あなたの脳には巨大な力が潜んでいる」    KAWADE夢新書 浜野 恵一 (著) に、なかなか興味深い話が載っていました。(この本はもう手元にないので、私の記憶を頼りに書きます。この点、ご了承願います。)


 ネパールかどこかにトレッキングのツアーに出かけた男性の話です。

 彼はヒマラヤを歩くツアーに参加はしているものの、山には特別興味があるというわけではありませんでした。ある場所に一行が着くと、ほかの参加者たちがみな上を向いて、おおー!とか、わー!とか、歓声を上げています。

 どうやら、みな山を見てその山がすごいと言っているようでした。しかし、男性にはその山が見えません。彼は、現地のガイドに、「みなは山が見えると言っているがいったいどこにあるのか。私にはモヤのようなものしか見えない。」と訴えました。

 「あなたのような人が神を見るのです。」とガイドは言った上で、「目の前にとてつもなく大きな山がそびえ立っていると想像しながら見て下さい。」と男性に言いました。

 目の前に山があると思って見ると・・・、なんと、とてつもなく大きな山がそびえ立っているのが見えました。モヤのように見えていたものは山だったのです。その光景は想像を絶するもので、その迫力に彼は圧倒されたそうです。


 この話を読んで、私は自分の子供のころの体験を思い出しました。

 私は4,5才だったと思います。家族で、クルマに乗って移動中、「虹が出てる!」とみなが騒ぎました。
 わたしは、「どこ?どこ?」と必死で訊いたのですが、結局見えませんでした。おそらく、当時の私の頭の中にある虹のイメージは、絵本などに出てくる、7色の色がはっきりとわかれた、絵の具などでペイントされた虹だったのだと思います。
 実際の虹はそうではなく、ぼんやりしたものであることが分かったのは、それから何年もしてからです。


 目の前にある対象が何であるか、また何と呼ばれているかを理解するにはあらかじめ、自分の頭の中にそのイメージ、概念が形成されていないといけません。

 しかし、ここで問題発生です。これは、「卵が先かニワトリが先か的」問題です。
 つまり、見たことも、触ったこともないもののイメージを、それを経験する前にあらかじめ頭の中で作るにはどうしたらいいのでしょうか?
 逆にまた、あらかじめ頭の中にイメージができていないのに、自分の前の世界に現れる対象、初めて経験する体験、初めて聞く言葉をどうすれば理解できるというのでしょう。


 このあたりの問題は、とくに大人が外国語を勉強するときにおおきな壁となって立ちはだかっていると、私は思います。

 やっかいなことに、外国語の勉強しはじめにこの、「想像もできない新しい概念」に会わなければならないのがつらいところです。結局、わからん!ってことになるんですよね(> <)。


 子供であれば、外界との接触と、自分の頭の中の概念(イメージ)の形成が、生活の中で同時進行的に進んでいきます。

 以下は、私の姪(当時2歳)とその母親(つまりわたしの姉)の会話の音声ファイルです。
 私のカメラを姉が使って姪を撮影しているときの会話です。小さなデジカメで、姪にはそれが何か分からなかったようです。
 カメラと亀がまだごっちゃになっている姪ですが、このような体験を何度かすることにより、亀とカメラの概念がそれぞれ形成されていくのでしょう。 
  会話の音声ファイルを開く


 大人であっても、ある程度はこれと似たようなプロセスを経て、外国語という新たな言葉を習得していくのだと思います。
 それは、大人にとっては少々恥ずかしい経験になるかもしれません。でも、自国語にない外国語の概念を新たにつかめたとき、ちょっとした喜びがありますよ。ホントに。


                          2005. 2.24



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